子育ての頃

コトコトとお鍋がリズムをとる。
真っ白い大根が、次第に透明になり
それが今日の一日の終わりの時間を彩る。

外はすっかりと冬の寒さになり
着ている服が薄手である事に後悔した身体がじわりと暖かい。
今日は夕ご飯を食べるとも要らないとも聞いていない子供達のために
この冬初めてのおでんを丁寧に作る。

部屋に目を向けると、先日のツーリングの残骸が
ところどころに片付けられる事なく残っていて
それに手をつける気持ちになれないのを払拭する前に

コトコトコトコトと音を立てる、それだけの事に穏やかさを求める。

出来上がったら、まずは衣更えをしよう。
バイク用品も、決まった場所に落ち着けば
それが終わる頃には、味も浸みていくだろう。



思いは引きずらない。
それは冷たいほどに。


それでもスモークをかけたような感覚がある理由は
自分が1番良く知っている。